看護師のための胃潰瘍大辞典

胃・十二指腸潰瘍で行われる主な検査と診断

患者さんの症状から潰瘍が疑われた場合、
上部消化管造影検査、胃内視鏡検査によって判断されます。

 

上部消化管造影検査は、スクリーニングは有用です。

 

ですが、病理診断を含めた最終診断は、胃内視鏡検査で行います。

 

上部消化管造影検査

 

組織欠損の部位に造影剤が貯留し、
潰瘍の形成を表す陰影をニッシェといいます。

 

潰瘍の証明には、ニッシェの描出が必要です。

 

良性の潰瘍では、潰瘍(ニッシェ)、
潰瘍辺縁および粘膜ひだ(レリーフ)集中像の変化は連続的です。

 

悪性の場合は、潰瘍(ニッシェ)、
潰瘍辺縁および粘膜ひだ(レリーフ)集中像の変化は非連続的です。

 

胃内視鏡変化

 

潰瘍は、病気によって、
@活動期activ stage(A1,A2)、
A治癒期healing stage(H1,H2)、
B瘢痕期scarring stage(S1,S2)
に分類されます。

 

生検

 

良性・悪性の最終的な鑑別は生検によって診断します。

 

胃がんとの鑑別において、生検はとても重要です。

 

ヘリコバクター・ピロリ感染診断と除菌判定

 

下記のいずれかの検査法を用いて、
ヘリコバクター・ピロリ感染診断を行います。

 

ヘリコバクター・ピロリ除菌判定は、
除菌治療薬中止後4週間以降に行います。

 

(1) 内視鏡による胃粘膜生検を必要とする検査

 

特定部位の採取結果を示すため、
サンプリングエラーの可能性があります。

 

そのため、胃大部大彎と幽門前庭部大彎の
2箇所から生検するのが望ましいとされます。

 

@ 迅速ウレアーゼ試験

 

迅速ウレアーゼ試験は、
ピロリ菌の特徴であるウレアーゼ酵素の活性度を測定する検査です。

 

迅速ウレアーゼ試験は、尿素とpH指示薬が混入された検査試薬内に
胃生検組織を入れる検査方法です。

 

検査試薬には尿素とpH指示薬が含まれます。

 

胃生検組織中にピロリ菌が存在する場合には、
ピロリ菌が有するウレアーゼによって尿素が炭酸ガスと
アルカリ性への変化を色調で観察し、
ピロリ菌濃霧を間接的に判別することができます。

 

迅速ウレアーゼ試験は、比較的安価で迅速性に優れています。

 

そして、培養法に劣らぬ高い特異性を有しています。

 

何よりも、胃炎と胃がんといったほかの胃の疾患の診断と同時に
実施することができるという効率性があります。

 

ですが、除菌後は偽陰性が疑われることがあります。

 

A 鏡検法

 

鏡検法は、粘膜に付着したり潜んでいるピロリ菌を
ギムザ染色などの特殊染色後、
顕微鏡で直接観察する方法です。

 

ギムザ染色は、手技が簡便で費用も安価です。

 

同時に病理組織診断が可能です。

 

B 培養法

 

培養法は、胃生検材料を均質化し、培養するものです。

 

結果判定までに時間を要することが難点です。

 

(2) 内視鏡による胃粘膜政権を必要としない検査

 

@ 尿素呼気試験

 

尿素呼気試験は、尿素を含んだ検査薬を内服し、
服用前後で呼気に含まれる二酸化炭素の量を比較する検査方法です。

 

尿素呼気試験の検査方法は簡便です。

 

(尿素呼気試験の検査方法)

 

 1) 息をバッグに吹き込む。
 2) 診断薬を飲み込む。
 3) 左側臥位で5分間、座位で15分間待った後、再度息をバッグに吹き込む。

 

尿素呼気試験法は、スピーディーなピロリ菌の検査で、
ほぼ100%の検出率です。

 

ピロリ菌は、ウレアーゼを放出し、
胃の中にある尿素がアンモニアと二酸化炭素に分解されます。

 

そのため、ピロリ菌がいると二酸化炭素が多く発生します。

 

呼気中の13C-二酸化炭素における13Cの含有量を測定すると、
非感染時よりも大きく増加していて、間接的に診断することができます。

 

検査薬を服用した20分後、13C-二酸化炭素の上昇が
2.4pc以上という数値の場合に、ピロリ菌に陽性となります。

 

A 抗H.pylori血清抗体測定

 

血清中のピロリ菌に対する抗体の量を測定する検査方法です。

 

その抗体が高値であれば、ピロリ菌に感染していると診断することができます。

 

B 便中抗原測定

 

便を調べる便中抗原測定法は、
診断や研究用途に作られたピロリ菌に対する抗体を用いた
抗原抗体反応で調べます。

 

ピロリ菌に対する抗体は、
生きている菌だけでなく死菌も抗原として認識し、
そして特異的に反応します。

 

これを利用し、便中に含まれる菌に対して抗原の有無を判定します。

 

特に、胃疾患の症状がない場合でも、
ピロリ菌の存在を判定できることはメリットが高いです。

 

尿と便の検査も含め、ピロリ菌の存在を調べる検査は
どれも感度が90%以上あります。

 

そして信頼度はとても高いです。

 

多だし、ピロリ菌が除菌できたかを調べる検査では、
薬の影響が強く、抗体の量が上昇するには時間がかかります。
そのため、感染直後では、偽陰性が出やすくなります。